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 編集雑記  <76号>
 
 記者2年目、月刊紙を編集していたころのこと。依頼に追われ、その月はすべりこみで元新聞記者の教授に執筆を承諾いただけた。1週間もせずに原稿がきた。さすがに校正はほとんど必要ない。ここで気が緩んだのだろう。教授は「印刷ゲラは研究棟の事務室に預けておいてくれ」という。届けて、解放感に浸り、翌土曜は朝寝をしていた。すると自宅の電話が鳴った。「○○先生が今朝10時にあなたとゲラの戻しの約束なんだと激怒してるぞ」。時計は10時30分。行ったが教授の姿はすでになかった。翌日、研究棟の玄関で出待ちをした。頭を下げたまま怖くて顔を上げれずにいる私の肩を教授はポンとたたき、「自分の仕事に最後まで責任をもつ。それがプロだよ」、そういって去っていった。その言葉が今も私を支えている。(H.T)
 私の新入社員時代には、「てんてこ舞い」という言葉がぴったりだ。1年目、最初の取材原稿がいつまでも仕上がらない。焦れば焦るほど、文章は支離滅裂。遅くなるほど、取材先にも迷惑がかかる。原稿提出のリミットが迫り、いつも温厚な上司が初めて私を叱った。私は冷静さを取り戻し、ようやく原稿が仕上がった。またある時は、上司とともに取材先に到着後、カメラの電池を忘れたことに気づき、数キロ先のカメラ店に青い顔をして走ったこともある。失敗談は数え切れない……。そんなことが続き、落ち込み、はらはらと泣く私に上司は言ってくれた。「変わらず信頼してます」。その一言があるから、今も私はがんばれている。(S.S)
 今号の特集は、学生時代にキャリアを専攻していた私に、故郷に帰ってきたような感覚を抱かせた。多くの企業の生の声を聞くという経験が当時からできていれば、研究成果も違ったものになったかも……。なんて話は置いておいて、かく言う私も「元・三年三割社員」。夕食なし・終電帰りの毎日に、一年で身体を壊してしまった。心機一転を図り、当研究所へと足を踏み入れたわけだが、現在は自分が携わった雑誌を多くの方に読んでいただける喜び、読者の方から届く嬉しい声と共に、充実した毎日を送っている。昔、作家の村上龍氏が著書の中で言っていた。「本当の喜びは、仕事でしか得られない」と。今の私には、これだと思える喜びがある。高給・残業時間の少なさ・充実した福利厚生……。仕事の意欲を高める要素はたくさんあるけど、「心の充足感」以上の喜びはない気がする。少なくとも、私には、それだけで十分だ。(S.H)
◎読者の皆様からのご意見、ご感想を心よりお待ちしています。
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「道経塾」道経塾編集担当  E-mail :dohkei@moralogy.jp
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